「パイロットになる方法!」
そんな記事はネット上に山ほど転がっています。自社養成とか、私大のパイロットコースなどなど…
でも私がいつも思うのは、「その前に“どんなライセンスが必要か”を知ってほしい」ということ。あなたが目指すのはどんな業務を行うパイロットなのか。それを実現するためにはどのようなライセンス(免許)が必要なのか。そこを明確にしておくことがあなたの夢の実現に最も重要だと私は感じています。
私は、アメリカで1年ほど訓練をして、PPL(自家用操縦士)、IR(計器飛行証明)、CPL(事業用操縦士)を取得しました。その後、日本でも使えるようにIRとCPLを書き換えました。
※それぞれのライセンスについては、後ほど解説します。
そもそも「パイロットライセンス」ってなに?
簡単にいえば車でいうところの、「運転免許証」です。ただ、
飛行機を操縦するためには、一つの免許証だけでは飛べません!
飛行する目的は? 天気悪い時も飛のか? 複雑な飛行機を扱うのか?
みたいに、用途や飛行環境によって必要なライセンスが変わるため、複数の免許を段階的に取得する必要があります。
主なライセンス
自家用操縦士 (PPL) = 趣味や訓練、非営利での飛行が可能
パイロットを目指すほとんどの人が最初に取得する操縦免許です。報酬 (お給料)をもらわずに飛行する場合に限り、操縦が許されます。この自家用操縦士の訓練中に、一生忘れることのできない、「1st solo flight(初単独飛行)」経験することになります。経験上、この段階で挫折してしまう人が最も多く、実は最初の大きな壁でもあります。
計器飛行証明 (IR) = 雲の中や、視界が悪い中でも飛行が可能
飛行機は、天気がいい日 (視程が良好 & 雲の中に入らずに飛行できる)と悪い日とで、飛行方法が大きく異なります。そのため、天気が悪い日でも飛ぶためにはこの計器飛行証明と呼ばれる資格が別途必要になります。
この資格を取得するための訓練は、視界を遮るフードをかぶって、外が見えない状態で飛行するという、とてもクセがすごい訓練になります。好き嫌いが分かれますが私はとても楽しかった記憶があります。
少し専門的なことを言えば、これはただのレーティングなので、この資格単体で飛行機を飛ばすことはできません。ただ、日本は天気の悪い日も多く、プロのパイロットとして働くためには必須の資格になります。
事業用操縦士 (CPL) = 有償の業務飛行が可能に、プロの第一歩
お金をもらって飛行機を操縦することができるようになるライセンスです。車でいえば「二種免許」のような位置づけですね。ただあくまでプロパイロットのスタートライン。エアラインで「キャプテン」として活躍していくためには、まだ先があります。
定期運送用操縦士 (ATPL) = 航空会社の機長になるために必要
「キャプテン」とよばれる人が持っているのがこの資格です。いままで紹介してきた資格の中で最上位にあたります。旅客機のパイロットを目指す人たちは、この資格を取ることが最終目標となります。(私含め)
エアラインが使用するような飛行機(一般に旅客機と呼ばれるような大きな飛行機)で、お客さんや貨物などを乗せて飛行する場合に、機長を務める人はこの資格を有している必要があります。
取得には多くの飛行経験が必要で、ほとんどの場合、エアラインでパイロットとして働き始めてから10年以上を要する場合が多く、制服の4本線は航空業界を知れば知るほど輝いて見えるようになります。
その他の免許(限定免許) = 飛行機の型式、エンジンの数による免許の違い
これまで紹介してきた免許のほかにも、操縦する飛行機の型式やエンジンの数などによって、さらに追加で免許が必要になる場合があります。例えば、B787やA350などの複雑な飛行機には、その機種ごとの「型式限定」免許が必要ですし、エンジンが二つある飛行機を操縦する場合には、多発限定解除(MER)が必要になります。
これらの詳細は長くなるので、別の記事で順次解説していく予定です!
よくある誤解あれこれ ~意外と知らないライセンスの話~
CPLだけ取得してすぐに航空会社で働ける?
→ できません。
CPLの取得要件に、機長として一定時間以上の飛行経験が求められます。ただ、機長として飛行するにはPPL(自家用操縦士)が必要ですので、CPLを取得する前にPPLを取得して飛行経験を積む必要があります。
さらに、CPLを取得したとしても、ほとんどの航空会社ではIR(計器飛行証明)を有していることも求められていますので、PPL→CPL, IRを取得する必要があります。
IRとかMER(マルチエンジン)の訓練はオプション?
→ ほぼ必須です。
とくにIRに関しては、日本のように天候の変わりやすい地域では必要不可欠。
マルチエンジンについても、近年は双発機がほとんどのエアラインで採用されており、あなたがどのような目的で飛びたいかにもよりますが、多くの場合取得が必要になります。
年齢制限はあるの?
→ あります
免許を取ることに関してのみいえば最低18歳(資格によって変動あり)のみです。しかし、実際に飛ぶためには航空身体検査を受ける必要があります。その有効期間が年齢に応じて変動し、最短で半年ごとに更新する必要があります。また、航空会社で働こうとする場合には、もちろん若いほうが採用の枠が広がります。できれば20代のうちに、CPL, IR, MERは取得するのが理想です。(自衛隊等で飛行経験がある場合など例外もあります)
アメリカで免許を取得した場合、すぐに日本で飛ぶことはできる?
→ できません(例外あり)
免許は取得した国でのみ有効であり、原則として取得した国での飛行しか認められません。ただし、海外で日本でも使用可能な免許を取得することができる制度もあり、そのような制度を国から認可されている訓練機関のことを指定養成機関と呼びます。自社養成や一部の私大パイロットコースが該当します。
ほとんどの場合、海外で取得した免許を、日本で飛べるように書き換える必要があります。具体的な方法に関しては別の記事で紹介する予定です。
海外で免許を取得する人が多いのはなぜ?
→ 圧倒的にコスパが良いから!
アメリカで免許を取得する場合、費用は日本の約半分になります。もちろん滞在費や、書き換えを考えるとそんな単純な話ではないですが…総額ではメリットが大きいのが現実です。
まとめ
特にライセンス関係で、よくある質問や誤解されることが多いことを紹介しました。
・飛行機を飛ばすためには、目的や飛行環境に応じて複数のライセンスが必要。
・PPL → IR → CPL → ATPL のように、段階を踏んでレベルアップしていくのが一般的。
・私自身の経験からも、「どんなパイロットになりたいか」を明確にしておくことが大切
最後に
ここまで読むと「なんだか大変そうだな…」と思うかもしれません。でも大丈夫です。
一つひとつステップを踏めば、パイロットへの道は確実に開けてきます。
ぜひこの記事をきっかけに、本気でパイロットを目指す第一歩を踏み出してもらえたら嬉しいです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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